飲食店の開業で最も多い失敗の原因は「サラリーマン感覚のまま開業すること」です。
「自分の店を持つのが夢だった」「料理には自信がある」「お客様からも評判が良かった」
そんな思いで飲食店の開業を目指す方はたくさんいらっしゃいます。
ですが、私たちが実際に関わる中で何度も目にするのは、“サラリーマン時代の感覚”をそのまま持ち込んでしまったがゆえに、苦しむ経営者の姿です。
この記事では、のべ500店以上の飲食店開業を支援してきた当事務所が、サラリーマンと経営者の違い、失敗しないために必要な考え方について解説します。
1. サラリーマンと経営者では「責任の範囲」が違う
会社員時代は、自分の担当業務に集中すれば評価されました。でも開業後はすべての責任を自分が背負う立場になります。
たとえば…
原材料が高騰しても、価格転嫁するか否かの判断をするのは自分
人手不足のとき、現場に立つか臨時人員を雇うかを決めるのも自分
売上が落ち込んだ月に、家賃・光熱費・仕入れ代をどう支払うか悩むのも自分です。
このように、経営者には「正解のない選択をし続ける力」が求められます。
現場で料理に没頭したいという気持ちはわかりますが、すべての責任は自分が背負うという心構えが何よりも大事です。
経営の舵取りができなければお店は長く続きません。
2.「良い料理」だけでは人は来ない
「自分が美味しいと思う料理を出せば、きっとお客様も喜んでくれる」
そう信じて開業される方も多いのですが、実際は“お客様が求めているもの”を提供できるかどうかがカギです。
お客様は、味だけでなく…
・価格帯
・接客の心地よさ
・提供スピード
・居心地の良さ
・SNS映えする盛り付けや内装
・利便性の高い立地
…など、総合的な“体験価値”を見てお店を選んでいます。
「自分がやりたいこと」だけでなく、「お客様が求めているもの」を提供する視点が欠かせません。
経営者には、料理人の目線だけでなく、“マーケティング”と“消費者心理”の視点が求められます。
3.「理想」より「継続」の視点を持つ
「夢だったお店をカタチにする」というのは、飲食店開業の原動力です。
ただし、その夢を実現し続けるには、冷静な「お金と数字の管理」が必要不可欠です。
お金と数字の管理とは何か?
・家賃は売上の何%までが適正?
・原価率はどのくらいが安全圏?
・人件費比率が高くなりすぎていないか?
・月々のキャッシュフローは黒字?赤字?
・広告費と集客数は見合っている?
これらの指標を“見える化”し、日々チェックすることで、お店が危険ゾーンに入る前に軌道修正が可能になります。
特に開業初年度は、適正なバランスが分からないまま運転資金が底をつくケースが多いため、「利益ではなく現金の流れ」に注目する必要があります。
数字が苦手な方でも大丈夫です
私たちは、飲食店専門の会計事務所として、必要な数字を“感覚で分かる形”にかみ砕いて提供し、経営判断をサポートしています。
たとえば…
・「この売上規模だと、月の家賃はいくらまでが理想」
・「日商○円を超えると人員体制を見直すべき」
・「目標利益率から逆算した価格設定シミュレーション」
など、あなたのお店に合わせた数字の“地図”を一緒に作ります。
まとめ:「料理人」から「経営者」へ、意識の切り替えがすべての始まり
夢や理想だけでは経営は継続できません。
サラリーマン時代の感覚で始めてしまうと、気づかぬうちに経費に埋もれ、資金繰りに詰まり、営業をあきらめることにもなりかねません。
だからこそ、開業は「意識を変えるチャンス」でもあります。
料理の腕だけでなく、数字・マーケティング・人材管理…
経営者としての自分を育てていくことで、あなたの夢は“続けられる現実”へと変わっていきます。
飲食店開業をお考えの方へ
プロアクション会計事務所は、延べ500店以上の飲食店開業から経営までを支援してきた飲食店専門の会計事務所です。
数字とお金の両面であなたの目標達成を支えるパートナーとして伴走いたします。
開業をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。