【リアルタイム経営診断シリーズVol.4】
“人手不足”と“顧客満足”を同時に解決!? 焼鳥店たけだ屋の「DX導入」奮闘記

「忙しい時間帯にスタッフが足りず、お客様から“注文しにくい”との声が増えてきた…」
そんな悩みは、飲食店オーナーなら誰もが直面する課題ではないでしょうか。今回のリアルタイム経営診断シリーズでは、実際の焼鳥店を舞台に、人手不足と顧客満足を同時に解決するためのDX導入の工夫をご紹介します。
POSレジによる数字の見える化、テーブルオーダーシステムでの注文効率化、顧客管理アプリを活用したリピーターづくり――これらの取り組みが、経営改善だけでなく「また来たい」と思わせるお店づくりにつながります。小さな一歩から始められるDXの実践事例をぜひご覧ください。
※この記事は実際の飲食店オーナーとの対話をもとに再構成しています。個人情報保護のため内容は一部編集しています。
登場人物紹介

個人経営の焼鳥店「たけだ屋」オーナー。開業4年目、物価上昇に悩む日々。

プロアクション会計事務所の飲食店専門税理士。これまでの500店超の飲食店の支援実績があり、飲食店専門税理士。現場視点と数値分析を掛け合わせたアドバイスを得意とする。
よくある悩み:「オペレーション効率化とお客様満足度アップをしたい」
■ スタートは、こんな一言から

「最近売上が好調なのはうれしいのですが、忙しい時間帯に注文が重なることが増えてきました。お客様から“注文しにくい”って声もあって…。何かいい方法ありませんか?」

「それは、まさに“DX(デジタルトランスフォーメーション)”の出番かもしれませんね」
DX導入の第一歩は「お客様の不満に向き合うこと」

「そもそも、外食において“お客様が不満に感じること”は何だと思いますか?」

「うーん、料理が遅いとか、注文しづらいとかでしょうか」

「そのとおりです。実際によく聞くのは──」
- 店員が呼んでもなかなか来ない(対応の遅れ)
- 料理の提供タイミングが悪い(まとめて来る or ばらけすぎ)
- 接客が雑・説明がない(忙しさによる質の低下)

「DXの導入はこうしたお客様の不満を解決する可能性を秘めています」
ステップ①:まずはPOSレジを導入。数字を“見える化”する
なぜ導入するのか?

「お店の売上ランキングは把握されていますか?どのメニューが何食出ているかひと目で分かりますか?」

「体感では分かっているつもりですが、具体的な数字までは。手書き伝票と電卓で何とかやってますが、締め作業も大変です…」
POSレジ導入のメリット
- 商品別売上、時間帯別売上がすぐ分かる
- 売上データが自動で集計され、経理作業もラクに
- 会計ミス・現金差異の防止
費用感と注意点
(例)タブレット型POSレジ
- 導入費用:0~20万円程度(レシートプリンタ等周辺機器は別途)
- 月額費用:5,000円~2万円程度
- 注意点:
・導入前に、使える補助金・助成金がないか確認しておく
・Wi-Fi環境の安定が必須なのでインターネット環境を整備する
・トラブル時の連絡先を確認し、マニュアルを整備する
・メニュー登録とスタッフ教育を初期にしっかり行う

「機械オンチの私にはハードルが高いですね(汗)」

「POSレジのシステムは飲食店向けのものだけでも10種類程度あります。導入費用が安く済むものから、導入サポートが手厚いところなどさまざまです。自分に合ったものを選べばスムーズに導入することができますよ
メニューごとの出食数を把握できれば、仕入や仕込みの調整ができますし、客単価や原価率の改善に活かすこともできます。経営判断には必須の情報ですね」
ステップ②:テーブルオーダーシステムで注文の“取りこぼし”を解消
なぜ必要か?

「ピークタイムは注文が集中して、スタッフの対応が雑になったり、料理が遅れたりしてしまうんです。お客様からのクレームにつながることもあります」

「それもDX導入のポイントですね。お客様からのクレームはスタッフにとっても大きなストレスです。テーブルオーダーシステムの導入を検討されてはいかがでしょうか」

「でもうちのお店のお客様はスマホで注文するというのは抵抗がありそうです。嫌がるんじゃないかなあ」

「よく分かります。心配な場合は、様子を見て当面はテーブルオーダーをサポートしたりこれまでどおりの注文方法も残してみるのも手です。徐々に注文にかかる時間を減らしていきましょう。
導入したお店では、結果的にお客様は注文しやすくなってオーダー数が増え、スタッフは料理の提供に集中できてサービスレベルが向上したというお話しを聞きます。少人数オペレーションを実現するためには必須ではないでしょうか」
テーブルオーダーシステムのメリット
- お客様のスマホで直接オーダーできる
- 注文の取り間違いが防止できる
- 外国語オーダーに気軽に対応できる
- 写真付きメニューで追加注文率がアップする可能性もある
費用感と注意点
- 初期費用:0〜数万円程度
- 月額費用:数千円~数万円程度
- 注意点:
・導入前に、使える補助金・助成金がないか確認しておく
・紙メニューは残しておいたほうがよい(メニューの全体像が確認できる)
・操作に不慣れな客層には丁寧なフォローが必要
ステップ③:顧客管理アプリで“また来たい”を仕掛ける
なぜ必要か?

「竹田さん、売上データと同じくらい、いえ、それ以上に“価値のある資産”があるのですが、何か分かりますか?」

「えっ…食材の在庫とかでしょうか?」

「それも大事ですが、実は“お客様の情報”です。誰が、いつ、どんな目的で来店して、何を食べたのか――この情報は、お店にとってまさに“宝”なんです」

「なるほど。でも、今は感覚頼りで、“この人よく来るな”くらいしか把握してませんね」

「そこを“データとして記録・活用できるようにする”のが、顧客管理アプリの役割です。大手チェーンでなくても、LINE連携などを使えば個人店でも簡単に導入できますよ」
顧客管理アプリのメリット
- LINEとの連携でスタンプカード、誕生日クーポン配信などが可能
- 「最近来ていない常連さん」や「週2ペースで来るVIP客」などを“見える化”
- 来店履歴や嗜好をもとに、「また来たくなる仕掛け」を提供できる

「“おすすめ串5本セット”をよく頼む人に、次は“ドリンク1杯無料”をつけて案内したら、喜ばれそうですね」

「まさにその通りです。顧客情報があることで、“誰に、どんな提案をすべきか”が明確になります」
費用感と注意点
- 初期費用:0〜(LINEミニアプリや外部サービスの活用で低コスト導入が可能)
- 月額費用:0〜数万円
- 注意点:
・登録の導線づくりがカギ
→卓上POP、注文後の声掛け、QRコードの設置など自然に登録してもらう工夫をする
・通知頻度は控えめに
→月1~2回程度、内容も「新メニュー紹介」や「季節限定クーポン」など価値のある情報に絞る
効率化で“生まれたお金”は、次の投資に

「たとえばテーブルオーダーシステムを導入することでスタッフを1〜2名減らせれば、月10万円程度の人件費が圧縮できる可能性があります。これを──
- 社員の給与UP(定着率UP)
- 材料費の見直し(品質向上)
- SNS広告出稿(新規集客)
- 修繕費・予備資金の確保

など、“攻めの予算”に回すことができます」

「省くためじゃなく、“次に使うため”のDXなんですね!」
まとめ:DXは特別なことではなく、個人店が生き残るためには必須
・POSレジで“数字の見える化”
・テーブルオーダーシステムで“注文のストレス”を減らす
・顧客管理で“また来たい”をつくる
次回はこうしたデジタル施策と連動した「SNSを活用した販売促進術」について掘り下げていきます。どうぞお楽しみに。
DX導入を検討している方へ
スタッフ不足や業務効率に課題を感じている方は、まずは一歩から始めてみませんか?
私たちは、飲食店の現場と経営数値の両面から、最適なDX導入をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。