独立開業で失敗しないために絶対知っておきたいこと10
3回めの今日はいよいよお金の話です
長いですがとても大事なところなのでお付き合いください
開業準備は物件えらびに入ります。
飲食店営業OKで思いどおりの場所の物件を探すのは至難のわざ。ここぞというところを見つけるのに1年以上かかったという話もよく聞きます
そんな状況のなかで、まずまずのものが出てくるとすぐにでも契約したくなるのが人情というものです。
想定していた家賃より少し高いけどほかにいい物件ないしえいっ決めちゃえっと思っているあなた!ちょっと待ってください
その家賃が払えるだけの売上はあげられますか?
やってみないとわからない、では済まされません。
家賃が払えないとあっという間に経営破綻が待っています
ではいったいどれくらい売上があればいいのでしょうか
お金を借りようとすると銀行から事業計画書を提出するよう求められます
事業計画書をつくるときの一般的な手順はこんな感じ
※1ヵ月の収支です↓
1ヵ月で150万円売り上げたとして、原価率は30%くらいの予定だから材料代は食材費と飲料代をあわせて45万円。人件費はアルバイト3人のローテーションでだいたい24万円。家賃は28万円で水道光熱費や検索サイトなどの広告費、消耗品などの合計で約23万円
売上からかかった費用を引くと30万円の利益が残る計算です。
30万円利益が残れば十分。じゃあ150万円が売上目標?いえいえ早合点しないで
利益が出ているようにみえるこの計画、このままではお金が減ってしまうんです
なぜでしょう
実はこの表にはつづきがあるんです。↓
出た利益には税金がかかります税金を払ったあとに支払うものなにかわかりますか?○○に入るのは…
借金
借金の返済は税金を払った残りの利益から支払うことになります。
税金も借金の返済も支払ったあとのお金がいわゆる手取りのお金ようやく生活費にあてることができます。
これらを差し引くとなんと月々18万円も赤字にこれではお店を続けることができません
では本当に必要な売上、損益分岐売上はいくらなのか見ていきましょう。
まず必要なのは生活費。生活費が確保できないと貯金を切り崩して生活することになります。これではなんのために開業するかわかりませんよね
そこでまず必要な生活費に、絶対支払うことになるお金を足していきます。↓
足す順番は表の下から上にむかって必要な生活費30万円に借金の返済額12万円と税金6万円を足して48万円
必要な利益はわかりました。
これに家賃などの経費を足していきます。↓
下から順に足していきます必要な利益48万円に諸経費23万円家賃28万円人件費24万円を足すと123万円になります。
売上から材料代を引いた時点で123万円残っていなければなりません。
ここで少し計算式がややこしくなります
この時点で残っていなければならない123万円を100%-原価率30%=70%。この70%で割りもどします。
123÷70%=175万円
この175万円が本当に必要な売上です↓
検算してみてください。原価率を30%とするとかかる材料費は52万円です
おさらい
生活費や借金の返済をまかなえるだけの必要な利益に家賃や人件費などの固定費を足した金額を、100%-原価率で割りもどす。
こうして導き出した金額がキャッシュ分岐売上です。
※今回説明しているキャッシュ分岐売上は決算書上の数字ではありません。借金を返して生活費も確保できる最低限のラインを示しています。仮に175万円の売上をあげるのがきびしいばあいは、もっと安い家賃のところを探すか材料費をもっと抑える必要があるかもしれません。
するといま考えている物件でいいのか?、いま考えている料理が出せるのか?を考え直す必要がありますよね。
事業計画は一度たてて終わりではありません。
上の表に何度も数字を入れ直して実現可能で納得のいく数字が入るまで試行錯誤しながら組み立てます
自分で作るのがむずかしいようでしたらお手伝いしますので気軽にお声がけください
ふ〜っ長い説明にお付き合いいただきありがとうございました