飲食店経営者が知るべき「事業譲渡(M&A)」の成功ポイント【実例を交えて解説】

ラーメン

「業績が好調なのに、なぜ事業を手放すのか?」

飲食店のM&A・事業譲渡は、経営不振の出口戦略としてだけでなく、ブランド価値を最大化して次の挑戦へ進むための手段としても注目されています。特に飲食業界では、オーナーの経営方針やライフスタイルによって、事業承継・売却の判断が大きく変わります。

この記事では、飲食店経営者が事業譲渡を検討する際に押さえておきたい成功のポイントと最新トレンドを、実際のケーススタディを交えて解説します。


飲食店の事業譲渡は「早めの準備」と「誠実な交渉」が成功のカギ

飲食店の事業譲渡(M&A)を成功させるためには、自店の価値を把握し、準備を早めに始めること、そして買い手候補に対して誠実かつ迅速な対応を行うことが重要です。これらを実践することで、希望条件での売却や次のステップへの円滑な移行が可能になります。


なぜ準備と交渉姿勢が重要なのか

飲食業界のM&A市場は拡大傾向
人気ブランドや立地の良い店舗は高額で取引されるケースが増えています。しかし、準備不足のまま売却に臨むと条件交渉で不利になる可能性があります。

税制やスキームの違いが大きく影響
事業譲渡では法人税、株式譲渡では譲渡所得税といった違いがあり、最終的な手残り額が大きく変わります。オーナーが十分に理解していないと、後半の交渉で混乱を招くリスクがあります。

後継者不足という業界課題
アンケート調査によると、40%以上の飲食店経営者が将来の承継について「決めていない」と回答しています。廃業リスクを減らすためにも、早期のM&A準備が欠かせません。


有名ラーメン店の事業譲渡事例

実際に東京都内で行列ができる人気ラーメン店を経営していたオーナーは、年商約2億円の好調な店舗を事業譲渡しました。

オーナー

「業績好調」の「行列ができる」店舗を売却した理由とは?

オーナーは、ヒットブランドを作ることに積極的だった一方、有名店を作った後の多店舗化、事業拡大をする事にはあまり興味をお持ちではありませんでした。

「ブランドを作り高額で売却する。その売却益を元にまた新しい事業にチャレンジする。」
そういったサイクルを作っていくために売却を希望されていました。

買い手とのスムーズな交渉のコツ

・面談時の丁寧な説明
・質問に対する迅速な対応

買い手候補との面談時には、丁寧な説明と質問に対する迅速な対応を行うことが、交渉で不利な状況を作らず希望通りの商談を進める為の重要なポイントです。

オーナーは初めての買い手候補との顔合わせの際、事業についての詳細なお話や、会社の社風、経営計画が明記されている資料をしっかりと準備し、創業から現在に至るまでの良かったこと、悪かったことを包み隠さずに説明。
丁寧な対応を続けたことで、買い手候補とのやり取りもスムーズに進みました。

事前に考えておくべき大切なポイント

丁寧な対応を続けていたオーナーですが、売買の条件がおおむね合致した後で「売却スキームを変更したい」という話をした際は、買い手候補にも困惑の色が。

事業譲渡を前提に進めていたM&A取引でしたが、事業譲渡の場合は売却後に発生する「法人税」が株式譲渡の場合に発生する「譲渡税」に比べて高額になるという点から、事業譲渡ではなく株式譲渡で進めたいという考えに至り、売り手・買い手間での協議となりました。

条件合致後に「スキーム変更(事業譲渡→株式譲渡)」を提案したことで一時的に混乱を招いたものの、事前準備の誠実さが交渉を支え、無事に株式譲渡での合意に至りました

M&A後もヒットブランドを作り続けるオーナー

オーナーは事業を譲ったのち、新たなブランドづくりに積極的に着手。今回の売却益を元手に、知見のあったラーメン事業だけではなく、別業態のブランド開発も行い、M&A後に展開した新ブランドの店舗も繁盛店として運営しています。

「売却=引退」ではなく、新しい挑戦のための手段として事業譲渡を活用した好例です。

さらに、このオーナーは売却益を活用して新たな飲食ブランドを立ち上げ、次の事業でも繁盛店を創出しています。「売却=引退」ではなく、新しい挑戦のための手段として事業譲渡を活用した好例です。


事業譲渡は「未来への投資」

飲食店のM&A・事業譲渡は、経営からの撤退ではなく未来への投資です。

・早期に準備することで最適なタイミングでの売却が可能
・誠実で迅速な交渉が信頼を生み、希望条件に近づける
・自店の企業価値を把握することで出口戦略が明確になる

飲食店経営者は、自店の現状を正しく評価し、事業譲渡を「選択肢の一つ」として前向きに考えることで、より豊かな経営人生を描けるでしょう。


まとめ

飲食店の事業譲渡は「終わり」ではなく「新しい始まり」です。
M&A市場の動きを理解し、事前に準備を進めることで、あなたの店舗の価値を最大化できます。

今回の事例のような高額売却を目指す場合でも、プロアクション会計事務所は、M&A市場での適正な価格設定や交渉をサポートします。
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ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

企業価値算出レポート

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この記事を書いた人

プロアクション会計事務所

プロアクション会計事務所

のべ500店以上の飲食店を支援してきた、飲食店専門の会計事務所です。
融資支援では審査通過率100%・満額融資率98%という実績を誇り、単なる資金調達にとどまらず、立地分析、販促支援、税務シミュレーション、経営計画の策定までを一気通貫でご支援。
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