飲食店の融資面談で聞かれることは?日本政策金融公庫の面談対策を解説

飲食店の融資面談で聞かれることは?日本政策金融公庫の面談対策を解説

飲食店の開業準備が進み、日本政策金融公庫の融資面談を控えたとき、次のような不安を感じていませんか。

悩む飲食店経営者
飲食店経営者

「面談では何を聞かれるの?うまく話せないと融資を受けられない?」

悩む飲食店経営者
飲食店経営者

「事業計画書は作ったけれど、売上や自己資金を質問されると答えに詰まりそう……」

創業計画書の欄を埋めることと、その内容を自分の言葉で説明することは別です。飲食店では、料理や接客への自信があっても、仕入れ、人件費、借入返済まで数字で聞かれると、準備不足が表に出ます。面談直前に模範回答だけ覚えても、計画の矛盾は解消しません。

この記事では、飲食店の融資面談で準備したい質問と答え方、手元にそろえる資料、当日から面談後までの対応を解説します。当事務所では、これまで500件以上の飲食店支援を行ってきました。飲食店に特化した創業融資・事業計画書作成支援の経験を踏まえ、開業後に返済しながら店を続けるための準備をお伝えします。

飲食店の融資面談は「計画と根拠の一致」を確認する場

面談対策の中心は、話し方を飾ることではありません。「計画書に書いた数字」「裏付け資料」「口頭の説明」を一致させ、借りたお金を何に使い、どう返すかを説明できる状態にすることです。

創業前は、営業実績が十分にありません。そのため、面談では開業者の準備状況と事業計画を具体的に伝える必要があります。売上を高く見せるより、どの数字が確定し、どこが仮定で、条件が変わったらどう対応するのかを整理してください。

日本政策金融公庫の創業予定の方|日本政策金融公庫では、面談で資金の使いみちや事業計画を確認し、関連資料や資産・負債の分かる書類を準備する流れが案内されています。店舗予定地の訪問やオンライン面談にも触れられています。面談方法や追加資料は担当者の案内に従ってください。

以下の質問例は、飲食店の計画を説明するための準備例です。公庫が公表した一律の質問集や、必ず同じ順番で聞かれる質問ではありません。答えを丸暗記せず、自店の事実と数字に置き換えて使います。

融資面談で準備したい7つの質問と答え方

なぜ飲食店を開業し、なぜ今なのですか

開業動機は、料理が好きという気持ちに加えて、事業として成立する理由まで説明します。開業する時期、狙う客層、提供する料理と価格、地域の需要がつながっていないと、具体的な計画として伝わりません。

例えば「いつか自分の店を持ちたかった」だけで終えず、「勤務先でランチの運営を担当し、短い昼休みに食事を済ませたい近隣勤務者の需要を把握した。提供時間を短くできる定食を主力にする」と説明します。これは仮定の回答例です。経験していない業務や確認していない需要を、実績として話してはいけません。

自分の経験から何を学び、それが出店計画のどこに反映されているかをメモにしてください。動機と数字がつながると、その後の質問にも答えやすくなります。

これまでの飲食業経験を、経営にどう活かしますか

経験は年数だけでなく、担当した仕事と判断できる数字で伝えます。「居酒屋で5年働いた」では、厨房担当だったのか、仕入れやシフトまで管理していたのかが分かりません。

当事務所の支援では、調理・接客のほかに、売上集計、発注、棚卸し、廃棄管理、採用、教育をどこまで担当したかを整理します。例えば発注経験があるなら、販売数の見込みと在庫をどう照合していたかまで説明すると、開業後の原価管理につながります。前職の機密資料を無断で持ち出す必要はありません。自分の担当範囲を事実に沿って説明します。

未経験の業務は隠さず、誰が担当し、どのように習得・補完するかを示してください。「知人の料理人に全部任せる」なら、その人が不在のときに営業できるかも検討します。本人が数字を把握しない計画では、店を続ける準備として足りません。

自己資金はどう準備しましたか。他の借入はありますか

自己資金については、残高とお金の出どころを一緒に説明します。毎月の給与から積み立てた資金、退職金、家族からの援助では背景が異なります。大きな入金がある場合は、その理由を確認できる資料も整理します。

親族から受け取ったお金は、贈与なのか借入なのか、返済義務があるのかを曖昧にしないでください。借りた資金を自分の貯蓄として説明すると、資金計画と返済計画の両方が崩れます。住宅ローン、車のローン、カードの分割払いなども、申告を求められた範囲で正確に伝え、家計からの毎月の支払いを整理します。

通帳に記載された残高だけでなく、すでに払った開業費用と残す生活資金も分けます。例えば預金300万円のうち100万円を生活費として確保するなら、事業に使える資金は同じ300万円ではありません。資金の二重計上がないかを面談前に点検してください。

融資のお金は何に使い、その金額はどう決めましたか

希望額は、物件・工事・設備などの見積と、開業後に必要な運転資金から説明します。「800万円あれば何とかなる」では、金額の根拠が伝わりません。

内装工事には厨房機器が含まれるのか、空調やダクト工事は別なのか、消費税込みの見積かを確認します。同じ設備を工事費と機器費の両方に入れていないか、契約時・着工時・完成時にいくら払うかも整理してください。見積が更新された場合は、計画書の数字も合わせて修正します。

運転資金は「数カ月分」という言葉だけで済ませず、家賃、仕入れ、人件費、水道光熱費、広告費などに分けます。当事務所では、開業直後の売上が弱い期間に耐えられるかを確認します。まず3カ月、できれば半年の低調な売上を想定して資金残高を試算するのは、当事務所の計画確認の目安であり、公庫の一律の融資条件ではありません。

なぜこの物件で、その客単価・客数を見込めるのですか

売上は、客単価と客数を出発点に説明します。希望する借入額を正当化するために売上を作ると、質問を重ねられたときに根拠がなくなります。

例えば客単価2,000円、1日40人、月25日営業なら、月商は200万円です。ここで40人が一日の来店客数なら、さらに回転率を掛けてはいけません。席数から考える場合は「席数×一日当たりの席回転数」で客数を組み立てます。ランチ・ディナー、平日・週末の違いも分けて確認します。

面談に向けては、候補物件の周辺を時間帯を変えて観察し、想定客層、競合店の価格帯、通行の動きなどを記録します。駅の乗降客数が多いだけでは、店前を歩き、入店する人数の説明にはなりません。20席の店で40人を見込むなら、滞在時間とスタッフ数で提供できるかまで確認します。

売上計画そのものの作り方を整理したい方は、次の記事も参考にしてください。

原価・人件費を払い、借入を返した後もお金は残りますか

面談では、売上の説明に続いて、支出と返済後の資金を説明できるようにします。飲食店は仕入れロスやシフトの組み方で手元資金が変わるため、「利益率は業界平均くらい」という答えでは自店の計画を示せません。

原価はレシピの食材費だけでなく廃棄や在庫の管理を含めて考え、人件費は営業時間と必要人数、時給などから積み上げます。次の表は、個人事業で開業する店の仮定の月次資金例です。売上は当月に全額入金、仕入れ等も当月に支払い、通常売上と低調時を比べています。実在の支援事例や融資審査の合格基準ではありません。

項目通常の計画売上が20%下がった場合
月の売上入金200万円160万円
仕入れ等の支払(売上の35%と仮定)70万円56万円
従業員人件費50万円50万円
家賃20万円20万円
その他の営業支出20万円20万円
借入返済前の資金差額40万円14万円
借入元金・利息の支払い10万円10万円
事業主の生活費20万円20万円
納税用の確保額5万円5万円
上記を差し引いた残額5万円マイナス21万円

この例は、支払いと資金確保を確認するための簡易表です。税額の計算表や会計上の損益計算書ではありません。納税用の5万円は仮置きで、実際の税額は所得や消費税の課税関係などによって計算します。その他の営業支出には借入利息を含めず、返済欄でまとめて扱っています。

「売上が20%下がっても大丈夫です」と答える前に、月21万円の不足が3カ月続けば63万円必要になることを確認します。キャッシュレス売上の入金待ち、追加仕入れ、設備故障などがあれば、別の資金余力も必要です。低調時にも人件費や家賃が同じ比率で減るとは限りません。

当事務所では、こうした試算をもとに、内装予算、家賃上限、営業体制、必要な運転資金を行き来して計画を整えます。答え方だけ変えるのではなく、資金が不足する原因を数字から直すことが面談対策になります。

開業が遅れたり、融資額が希望に届かなかったりしたらどうしますか

想定外の条件を聞かれたときは、対応する順番と判断期限を説明します。工事が遅れれば売上がないまま家賃が発生し、融資額が不足すれば支払う予定だった設備代を賄えなくなります。「頑張って売上を増やす」だけでは、開業前の不足を解消できません。

追加設備を後回しにする、工事内容を見直す、開業時期を再検討するなど、実行できる選択肢を整理してください。ただし、安全・衛生に必要な工事や必要な許認可を削ってよいわけではありません。物件契約の状況、業者との支払約束、保健所等との確認状況を踏まえて判断します。

補助金は、採択や入金時期が確定していない段階で、すぐ使える現金として埋め合わせに入れないでください。資金不足が解消できなければ、契約前に規模や日程を見直す判断も必要です。面談では、不確定な資金を確定済みと伝えないことが基本です。

面談前にそろえる資料と、数字を照合する手順

提出資料と当日の準備資料は担当者の案内で確定する

書類は、ネット上の一覧だけで完成と判断しないでください。創業前か開業後か、個人か法人か、利用する制度や設備資金の有無で必要な資料が変わります。

公庫の創業予定の方|日本政策金融公庫には、創業計画書、設備資金の見積書、本人確認書類、法人の場合の登記関係書類、許認可証などの案内があります。許可取得前など未完成の資料がある場合は、その状況と提出時期を担当者へ確認します。提出が必要な期間・形式・原本の要否も、個別の案内で確定してください。

面談対策としては、提出書類と別に「質問されたら根拠を示せる資料」をまとめておくと説明が進みます。必要な範囲を確認したうえで、次のものを整理します。

  • 最新の創業計画書と、修正した箇所が分かるメモ
  • 自己資金の準備経緯と、既存借入の返済状況を説明する資料
  • 設備・工事の見積書と、物件条件・支払時期の一覧
  • メニュー価格、客数の根拠、原価・人件費の計算メモ
  • 開業後の月別資金繰り表と、売上が低い場合の試算
  • 許認可、工事、採用、開業日の進捗メモ

1枚の照合メモで、計画書と面談回答をそろえる

当事務所では、数字をばらばらに覚えるのではなく、必要資金、調達方法、月の売上、支出、返済をつなげて確認します。例えば必要資金1,000万円を自己資金300万円と融資700万円で賄うなら、見積と運転資金の合計も1,000万円になっているかを確認します。

そのうえで「項目・計画書の金額・根拠資料・未確定事項」を1枚に並べます。厨房見積が50万円増えたのに、融資希望額も自己資金も変わっていなければ、50万円の不足が見つかります。面談の練習中に矛盾に気づいたら、話を合わせるのではなく計画を修正してください。

資金繰り表では現金売上とキャッシュレス売上の入金日を区別します。日々レジに現金がある飲食店ほど、残高だけで安心しがちです。家賃、給与、仕入代金、返済が重なる日に足りるかまで説明できれば、計画は開業後の数字管理にも使えます。

面談当日の答え方と、面談後にやること

分からないことは推測で埋めず、確認して回答する

当日は、質問に対する結論を先に答え、数字や資料で補足します。聞かれていないことを長く話すより、「月商200万円を見込んでいます。客単価2,000円、一日40人、25日営業です」と順に説明するほうが伝わります。

その場で確認できない金額は、誤った数字を言い切らないでください。「最新の見積を確認して回答します」と伝え、回答方法と期限を確認します。見積や物件条件が申込時から変わった場合も、変更点を自分から説明します。

  • 自己資金や経験を実際より多く見せる
  • 計画書と異なる数字を、その場の勢いで答える
  • 売上が下がった場合を「気合いで何とかする」で済ませる
  • 専門家に任せたため、自分は内容を知らないと答える

面談が和やかだったこと、質問が少なかったことだけで融資決定とは判断できません。正式な審査結果と契約手続き、入金予定を確認する前に、融資金を受け取れる前提で支払いを増やさないでください。

追加資料・変更点・支払予定を面談後に管理する

面談後は、求められた追加資料、提出期限、確認待ちの事項を一覧にします。修正版の計画書を出す場合は、変更箇所と理由も添え、古い資料と新しい資料が混在しないようにしてください。

公庫の案内では、融資決定後に契約手続きを行い、完了後に金融機関の口座へ送金する流れです。面談が終われば翌日使えるという前提は置かず、物件・工事・設備の支払日と照合します。審査期間や実行日は一律に決めつけず、担当者へ状況を確認してください。

融資条件が希望と異なった場合は、借入額だけでなく毎月の返済と手元資金を再計算します。条件が変わっても、開業後に続けられる計画になっているかを最後に確認します。

まとめ|融資面談の準備を、開業後に使える数字管理へつなげる

飲食店の融資面談では、開業動機、経験、自己資金、資金使途、売上、返済、想定外への対応を、資料と自分の言葉でつなげて説明します。まずは創業計画書の数字を一つ選び、「何を根拠に決めたか」を声に出して説明してください。答えに詰まる部分が、優先して準備すべき箇所です。

飲食店経営では、料理や接客と同じように税務・数字管理が欠かせません。融資後も原価率、人件費、現金売上と入金予定、納税資金を確認し、計画との差を早く修正する必要があります。飲食店に特化した税理士なら、面談のための計画を、そのまま開業後の資金繰り管理へつなげて支援できます。

当事務所の創業融資支援では、融資審査通過率100%、満額融資率98%の実績があります。これらは当事務所のこれまでの支援実績であり、個別の融資結果を保証するものではありません。事業計画書作成、資金調達、税務顧問、会計・経理、開業後の経営改善まで一貫して支援します。

「この回答で数字がつながっているか見てほしい」「面談までに何を直すべきか分からない」という段階でもご相談ください。初回相談のみでも問題ありません。現在の計画書と見積、分かる範囲の資金状況をもとに、必要な準備を一緒に整理します。

この記事を書いた人

プロアクション会計事務所

プロアクション会計事務所

のべ500店以上の飲食店を支援してきた、飲食店専門の会計事務所です。
融資支援では審査通過率100%・満額融資率98%という実績を誇り、単なる資金調達にとどまらず、立地分析、販促支援、税務シミュレーション、経営計画の策定までを一気通貫でご支援。
開業というスタートラインから、軌道に乗るまで、さらには2店舗目・3店舗目の展開までを見据えた「実行力のあるサポート」をお届けしています。