飲食店の売上予測はどう作る?事業計画書で説得力を出す数字の作り方

飲食店の売上予測はどう作る?事業計画書で説得力を出す数字の作り方

「事業計画書に売上予測を書かなければいけないけれど、客単価や席数、回転率をどう使えばいいのか分からない」と悩んでいませんか。

融資審査に向けた事業計画書では、「月商300万円を目指します」と書くだけでは説得力が足りません。金融機関が見たいのは、その売上がどういう計算で出ているのか、現実に達成できる数字なのか、返済できる利益が残るのかです。

この記事では、飲食店の事業計画書で使える売上予測の作り方を、客単価・席数・回転率・営業日数を使って具体的に解説します。事業計画書 売上予測 飲食店 テンプレートとして使える形も紹介します。

当事務所では、これまで500件以上の飲食店支援を行ってきました。創業融資支援では、融資審査通過率100%、満額融資率98%の実績があります。実際の支援現場で金融機関に説明してきた視点から、数字の作り方をお伝えします。

飲食店の売上予測は「希望」ではなく「根拠」で作る

飲食店の事業計画書で最初に押さえるべきことは、売上予測は「これくらい売れたらいいな」という希望ではなく、根拠のある計算結果として作るということです。

理由は明確です。融資審査では、売上額という数字そのものよりも「その売上をどうやって達成するのか」が見られるからです。日本政策金融公庫の「創業計画の書き方|日本政策金融公庫」でも、創業計画書は事業計画等を記入する書類として案内されており、「各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫」には創業計画書や飲食店向けの記入例も掲載されています。(日本政策金融公庫)

飲食店の場合、売上は次の式で分解できます。

売上予測=客単価×席数×回転率×営業日数

たとえば、20席の飲食店で、客単価3,000円、1日1回転、月25日営業する場合、月間売上は次の通りです。

3,000円×20席×1回転×25日=150万円

このように計算すれば、売上予測の根拠が見えます。反対に、「近くの店が流行っているから月300万円はいけると思います」では、融資審査で説明しきれません。

当事務所の支援でも、最初に行うのは「希望売上」を書くことではなく、客単価、席数、営業日数、ランチ・ディナーの営業形態、曜日ごとの客数を分解することです。売上予測は、感覚ではなく、計算で作る必要があります。

まずは「手元に残すお金」から逆算する

売上予測を作るとき、多くの人は「どれくらい売れそうか」から考えます。しかし、飲食店の事業計画書では、まずいくら売らなければお金が残らないのかを把握することが重要です。

なぜなら、売上があっても、手元にお金が残らなければ経営は続かないからです。飲食店では、売上から材料費、人件費、家賃、水道光熱費、広告費、借入返済、税金、生活費が出ていきます。月商300万円でも、支払いが290万円あれば、残るお金は10万円です。少し売上が落ちるだけで資金繰りが崩れます。

当事務所では、目標売上を作る際、まず「手元にいくら残す必要があるか」から逆算します。たとえば、毎月10万円を手元に残したい場合、そこに生活費、借入金の返済元金、税金、家賃、人件費、諸経費、材料費を足し戻していきます。

具体的には、次のように考えます。

手元に残したいお金+生活費+借入返済+税金=必要利益

そこに、

家賃+人件費+水道光熱費+広告費+その他経費+材料費

を加えると、目指すべき売上が見えてきます。

ここで大切なのは、損益分岐点だけでは足りないという点です。損益分岐点は「利益がゼロになる売上」ですが、実際の経営では借入金の元金返済や生活費、将来の設備修繕費も必要です。飲食店の場合は、エアコン、冷蔵庫、食洗機、看板、内装の修繕も起こります。つまり、事業計画書では「利益が出るか」だけでなく、「お金が残るか」まで確認しなければいけません。

売上予測は、上に伸ばす数字ではなく、下から支える数字です。必要な利益と資金繰りを確認したうえで、現実的に達成できる売上へ落とし込むことが、説得力のある事業計画書につながります。

飲食店の売上予測テンプレート

飲食店の売上予測は、ランチ・ディナー、平日・週末を分けて作ると現実に近づきます。すべてを平均で計算すると、数字が粗くなります。

事業計画書の売上予測においては、次のテンプレートで整理するとわかりやすくなります。

区分客単価席数回転率営業日数月間売上
ランチ1,000円20席1.5回転24日720,000円
平日ディナー3,000円20席0.5回転16日480,000円
週末ディナー3,500円20席0.8回転8日448,000円
合計1,648,000円

このテンプレートの良い点は、どの数字を改善すれば売上が変わるのかが分かることです。

たとえば、月間売上が目標に届かない場合、選択肢は限られます。

  • 客単価を上げる
  • 席数を増やす
  • 回転率を上げる
  • 営業日数を増やす
  • ランチ・ディナーの構成を変える

ただし、どれも簡単ではありません。客単価を上げれば客離れが起きることがあります。席数を増やせば導線が悪くなり、料理提供が遅れることがあります。回転率を上げたくても、居酒屋やバーでは滞在時間が長くなります。営業日数を増やせば、人件費や店主の負担が増えます。

だからこそ、売上予測は「数字を大きく見せる作業」ではありません。お店の業態、立地、人員体制、メニュー構成に合う現実的な数字を探す作業です。

客単価はメニュー構成から作る

客単価は、売上予測の中でも特に見られる数字です。客単価を高く設定すれば売上は簡単に増えますが、根拠のない客単価はすぐに見抜かれます。

たとえば、ディナー客単価を5,000円に設定するなら、実際にお客様が5,000円を使うメニュー構成になっている必要があります。料理2品とドリンク1杯で3,000円程度にしかならないお店が、客単価5,000円で計画を作っても説得力はありません。

客単価を作るときは、次のように考えます。

ランチであれば、主力メニューの価格、セットメニュー、トッピング、ドリンク追加を見ます。全メニュー1,000円均一なのか、850円から1,250円の価格帯で平均1,000円を狙うのかで、メニュー表の作り方が変わります。

ディナーであれば、2名来店時の注文内容を実際に組み立てます。たとえば、料理4品、ドリンク4杯、チャージ、デザートまで含めて、2名合計いくらになるのかを確認します。

客単価は「お客様に払ってほしい金額」ではなく、「自然に注文した結果として到達する金額」です。

実際の支援現場でも、開業前の計画ではディナー客単価を高く設定していたものの、メニューを見直すとそこまで注文される導線がないケースがあります。その場合は、単価を下げて回転率や席数で補うのか、メニュー構成を変えて単価を上げるのかを検討します。

客単価の根拠として、事業計画書には主力メニュー、価格帯、想定注文例を添えると説得力が増します。

席数と回転率は「満席前提」にしない

飲食店の売上予測でよくある失敗が、満席前提で計算することです。

20席のお店で、毎日20席すべてが埋まり、ランチは2回転、ディナーも1回転すると考えれば、売上は大きく見えます。しかし、開業直後からその状態が続くことはまれです。

席数は物理的な上限です。20席あっても、実際には2名席に1名で座ることがあります。4名席に2名で座ることもあります。予約の間に空席時間も生まれます。厨房やホールの人員が足りなければ、席は空いていても案内できません。

そのため、回転率は現実的に設定する必要があります。

たとえば、ランチは滞在時間が短いため1.2〜1.5回転を狙える場合があります。一方で、ディナーの居酒屋業態では、平日は0.5〜0.8回転、週末は0.8〜1.0回転など、曜日によって差が出ます。カフェで長時間利用が多い場合、席数が多くても回転率は上がりにくくなります。

事業計画書では、次のように分けると説明しやすくなります。

ランチ売上=ランチ客単価×席数×ランチ回転率×ランチ営業日数

平日ディナー売上=ディナー客単価×席数×平日回転率×平日営業日数

週末ディナー売上=ディナー客単価×席数×週末回転率×週末営業日数

この分け方をすると、「平日は会社員が中心でランチ需要がある」「週末はディナー需要が高い」「ビジネス街のため土曜日は弱い」といった立地条件も数字に反映できます。

当事務所の支援では、売上予測を作る際に、近隣店舗の価格帯、通行量、駅からの導線、曜日ごとの集客可能性まで確認します。「席があるから売れる」ではなく、「その席を埋める理由があるか」まで見ます。

売上予測は原価率・人件費率までつなげる

事業計画書で説得力を出すには、売上予測だけで終わらせてはいけません。売上から原価率、人件費率、家賃、返済までつながっている必要があります。

理由は、金融機関が最終的に見たいのは「返済できるか」だからです。売上が大きくても、原価率が高すぎたり、人件費が重すぎたりすれば、返済余力は残りません。

たとえば、月商200万円、原価率35%なら、材料費は70万円です。人件費が60万円、家賃が30万円、水道光熱費・広告費・その他経費が30万円なら、残る利益は10万円です。ここから借入返済と税金、生活費を出すのは厳しくなります。

一方、同じ月商200万円でも、原価率30%、人件費50万円、家賃25万円に抑えられれば、残るお金は大きく変わります。

飲食店では、原価率のズレが資金繰りに直結します。仕入れ価格の上昇、食材ロス、在庫管理の甘さ、値付けのミスによって、計画上の原価率と実際の原価率がズレます。売上予測を作る段階で、原価率を現実的に見ておかないと、開業後に「売れているのにお金が残らない」状態になります。

当事務所の開業後の経営支援では、原価率や人件費率の改善、資金繰り表の作成、月次の数字確認まで行います。事業計画書は融資を受けるためだけの書類ではありません。開業後に数字を見直すための基準にもなります。

融資審査で見られる売上予測のポイント

融資審査で見られる売上予測のポイントは、主に次の4つです。

1つ目は、数字の根拠があるかです。
客単価、席数、回転率、営業日数が分解されていれば、売上の根拠を説明できます。反対に、月商だけを書いた計画では、審査担当者が妥当性を判断できません。

2つ目は、立地や業態と合っているかです。
ビジネス街で土日の売上を高く見積もっていないか。住宅街で平日ランチの回転率を高くしすぎていないか。カフェなのに居酒屋並みの客単価にしていないか。数字は、店舗の条件と一致している必要があります。

3つ目は、経費と返済まで見ているかです。
売上予測が高くても、借入返済後にお金が残らなければ厳しい計画です。金融機関は、借りたお金を返せるかを見ます。売上、利益、資金繰りは一体で考える必要があります。

4つ目は、開業直後のズレに耐えられるかです。
開業直後は、想定客数まで届かない、客単価が低い、原価率が上がる、人件費がぶれる、広告費や求人費が追加でかかる、といったことが起きます。最低3カ月、できれば半年は赤字でも耐えられる資金設計が必要です。

当事務所の創業融資支援では、創業計画書の作成支援、事業計画書作成、資金繰り表作成、面談対策まで行います。単に書類を整えるのではなく、金融機関から質問されたときに自分の言葉で説明できる数字に落とし込みます。

よくある失敗例:売上予測が甘くなるパターン

飲食店の事業計画書で多い失敗は、売上予測が都合よく作られていることです。

たとえば、次のようなケースです。

「近くに似た店があるから自分の店も流行る」と考えるケース。
他店がうまくいっている理由は、立地、家賃、常連客、スタッフ力、開業年数、資金力によって違います。他店の売上をそのまま自店に当てはめるのは危険です。

「満席になれば返済できる」と考えるケース。
満席になれば返済できる計画は、満席にならなければ返済できない計画です。開業直後の計画としては危険です。

「客単価を上げれば数字が合う」と考えるケース。
客単価はメニューと注文導線で決まります。高い客単価を設定するなら、その金額を自然に使ってもらえる商品設計が必要です。

「人件費を少なく見積もる」ケース。
店主がすべてカバーする前提の計画は、長続きしません。仕込み、営業、片付け、発注、経理、SNS、採用まで一人で回すのは限界があります。人件費を削りすぎた計画は、開業後に現場が回らなくなります。

「原価率を低く見積もる」ケース。
開業前は理想の原価率を書きがちですが、実際にはロス、まかない、試作、仕入れ単価の変動が起こります。原価率は低く見せるのではなく、現実的に置くべきです。

これらの失敗を避けるためには、売上予測を1回で完成させようとしないことです。初期投資、家賃、客単価、席数、回転率、原価率、人件費を何度も行き来しながら、開業後に資金が残るラインを探します。

売上予測の根拠として準備すべき資料

事業計画書の売上予測に説得力を持たせるには、数字だけでなく、根拠資料も準備しておくと有効です。

準備したい資料は次の通りです。

  • メニュー表案と価格表
  • ランチ・ディナー別の想定注文例
  • 近隣店舗の価格帯調査
  • 店舗周辺の人通りや客層のメモ
  • 物件の席数レイアウト
  • 営業日・営業時間の計画
  • スタッフ人数とシフト案
  • 原価率の試算表
  • 家賃、内装、厨房機器などの見積書
  • 借入返済を含めた資金繰り表

これらがあると、融資面談でも説明しやすくなります。特に、見積書と売上予測がつながっていることは重要です。高額な内装費をかけるなら、その投資をどの売上で回収するのかを説明できなければいけません。

飲食店開業では、「おしゃれな店にしたい」「良い厨房機器を入れたい」という気持ちが先に立つことがあります。しかし、その費用はお客様にとって来店理由になるのか、売上につながるのか、何年で回収できるのかを見なければいけません。

当事務所では、創業融資支援、事業計画書作成、資金調達、税務顧問、経営改善までワンストップで支援しています。開業前の売上予測だけでなく、開業後に実績と計画を比較し、改善につなげるところまで伴走できます。

飲食店専門の税理士に相談するメリット

飲食店の売上予測は、一般的な計算式を知っているだけでは不十分です。業態ごとの原価率、人件費率、客単価、回転率、立地のクセ、資金繰りまで分かっていないと、現実に合う数字になりません。

飲食店に特化した税理士に相談するメリットは、単に税金の申告を任せられることではありません。開業前の事業計画書、創業融資、資金繰り、原価率、人件費、消費税、インボイス、開業後の利益改善まで、数字をつなげて判断できることです。

当事務所では、これまで500件以上の飲食店支援を行ってきました。創業融資支援では、融資審査通過率100%、満額融資率98%の実績があります。飲食店に特化しているため、一般論ではなく、実際の店舗運営を見据えたアドバイスができます。

たとえば、売上予測が目標に届かない場合でも、単に「売上を上げましょう」とは言いません。客単価を上げるべきか、席数を見直すべきか、営業時間を変えるべきか、原価率を下げるべきか、初期投資を抑えるべきかを数字で検討します。

融資審査に向けた事業計画書は、きれいに書くことが目的ではありません。開業後にお金が残る経営を作るための設計図です。ここを曖昧にしたまま開業すると、売上はあるのに資金が残らない状態になりやすくなります。

まとめ:売上予測は「融資のため」ではなく「続く店を作るため」に必要

飲食店の事業計画書で説得力のある売上予測を作るには、客単価・席数・回転率・営業日数を分解して考える必要があります。

売上予測の基本は、次の式です。

売上予測=客単価×席数×回転率×営業日数

ただし、この計算だけで終わってはいけません。ランチとディナー、平日と週末を分ける。客単価の根拠をメニュー構成から作る。満席前提にしない。原価率・人件費・家賃・借入返済までつなげる。ここまでできて、初めて融資審査でも説明できる事業計画書になります。

飲食店経営では、税務・資金繰り・数字管理が非常に重要です。特に開業前は、売上予測、創業融資、初期投資、運転資金、消費税、インボイス対応など、お金に関する判断が集中します。数字が甘いまま開業すると、利益が出ているように見えても、手元資金が残らない経営になります。

当事務所では、飲食店に特化した税理士として、創業融資支援、事業計画書作成、資金調達、税務顧問、経営改善まで一貫してサポートしています。

「この売上予測で融資審査に通用するか不安」
「客単価・席数・回転率の作り方を一緒に見てほしい」
「開業後にお金が残る計画になっているか確認したい」

このような方は、プロアクション会計事務所へご相談ください。

初回相談のみでも問題ありません。無理な営業は行いません。事業計画書を作り始めた段階でも、まだ物件が決まっていない段階でも、数字を整理するところからご相談いただけます。

この記事を書いた人

プロアクション会計事務所

プロアクション会計事務所

のべ500店以上の飲食店を支援してきた、飲食店専門の会計事務所です。
融資支援では審査通過率100%・満額融資率98%という実績を誇り、単なる資金調達にとどまらず、立地分析、販促支援、税務シミュレーション、経営計画の策定までを一気通貫でご支援。
開業というスタートラインから、軌道に乗るまで、さらには2店舗目・3店舗目の展開までを見据えた「実行力のあるサポート」をお届けしています。