インボイス制度に使える補助金2種

 インボイス制度の導入促進に活用できる補助金は、「小規模事業者持続化補助金」と「IT導入補助金」です。2023年度からさらに補助内容が拡充されています。これらを上手く利用し、デジタル化を推進しましょう!

採択率の高い両方の補助金を活用いただけるので、まずは当センターにご相談ください。

1. 小規模事業者持続化補助金とは?

 小規模事業者持続化補助金は、賃金引上げやインボイス制度導入といった制度変更に対応するために小規模事業者がおこなう取り組みにかかる経費の一部を補助するものです。平均採択率が60%以上と、比較的採択率が高い補助金です。

2. どんな飲食店が対象?

 「常時使用する従業員の数が5人以下」の飲食店が対象となります。常時使用する従業員は基本的に社員と考えられますが、アルバイト従業員も対象になる場合もありますので詳しくはお問い合わせください。

3. 補助率と補助金額

 補助率は2/3、補助上限額は50万円~200万円です。

4. インボイス特例で補助額が50万円上乗せ

 免税事業者がインボイス制度導入に伴い適格請求書発行事業者に転換した場合は、上記の補助上限額が一律で50万円上乗せされ、最大で250万円まで補助を受けることができます。

通常枠特別枠
賃金引上げ枠卒業枠後継者 支援枠創業枠
インボイス転換事業者100万円250万円

5. 小規模事業者持続化補助金の採択事例を見てみよう

 顧客層のニーズに合わせた設備投資やテイクアウト商品の開発、ECサイトの開設、販売効率化を目指したものなどさまざまな採択事例があります。

採択者一覧ページ

事例①そば屋:高性能フライヤーを導入して揚げ物を目玉商品に

 全国的に有名な桜エビのかき揚げをセットにすることで客単価アップを狙った。開業間もないこともあり認知不足も課題のひとつだったため、地元ローカル紙に広告を出稿。法事や慶事向けの会席ニーズに訴求することができた。

事例②居酒屋:個室を掘りごたつにしてシニア層の利用を促進

 個室の利用を希望する客層むけに掘りごたつを導入。シニア層だけでなく個室の利用が促進された。個室が効果的に使えることで配膳の効率も改善された。

事例③弁当屋:インターネット販売で販路拡大

 ただサイトを開設するだけでなく、コンビニ弁当との差別化を図るなかで地元産の食材へのこだわりを強みとして打ち出すことに成功。加工済みの食材を真空包装してご家庭で盛り付けてもらうかたちにしたおかげで品質を安定させることができた。

6. IT導入補助金とは

 IT導入補助金は、インボイス制度対応のためのシステム導入にかかる経費の一部を補助するものです。インボイス制度に対応した受発注システムと会計システムを新規導入する場合、「デジタル化基盤導入枠」で最大350万円が補助されます。「デジタル化基盤導入枠」の2022年の採択率は80%です。

 ただし既存システムの改修は対象外となりますのでご注意ください。

類型名デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
ツール名ITツール※PC等レジ等
補助額~50万円以下 (下限を撤廃)50万円超~350万円~10 万円~20 万円
補助率3/4以内2/3以内1/2以内
対象経費ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、ハードウェア購 入費、導入関連費 (ソフトウェアの更新等保守サポート費含む)

7. どんな飲食店が対象?

 常勤の従業員が100人以下(小規模事業者の場合は5人以下)の飲食店が対象となります。

8. デジタル化基盤導入枠の対象経費および補助率と補助金額

<ITツール>

会計ソフト、受発注システム、決済ソフト、ECソフト

対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、

ハードウェア購 入費、導入関連費(ソフトウェアの更新等保守サポート費含む)

補助率:3/4以内、2/3以内

補助額:~50万円以下(下限を撤廃)、50万円超~350万円

<PC等>

対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、

ハードウェア購 入費、導入関連費(ソフトウェアの更新等保守サポート費含む)

補助率:1/2以内

補助額:~10万円

<レジ等>

対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、

ハードウェア購 入費、導入関連費(ソフトウェアの更新等保守サポート費含む)

補助率:1/2以内

補助額:~20万円

9. IT導入補助金の採択事例を見てみよう

 人気メニューや顧客動向を把握するための顧客管理ツールや、売上や給与計算等の会計業務の効率化を図るもの、セルフオーダーシステムなどのITツールが多く導入されています。

IT導入事例

事例①和食料理店:会計システムの導入で会計にかかる工数を削減

 請求書発行業務のデジタル化対応に取り組みために会計システムを導入。電子化により注文受付の正確性が向上した。売上分析が効率化しインボイス対応も実現した。

事例②焼肉店:セルフオーダーで人手不足を乗り切り、営業時間増

 人手不足に悩みランチ営業は週末のみになっていた。またオーダー時は専門的な肉の部位など聞き間違いも発生。追加オーダーの呼び出しも多かった。セルフオーダーシステムを導入してオーダーの正確さとスピードが向上。スタッフは料理を運ぶことや接客に専念できサービスの質が向上した。また注文データを見直して男女比やメニューごとのオーダー数などを確認しメニュー内容の改善にも活用している。

この記事を書いた人

プロアクション会計事務所